50代の髪型の悩み|うねり・広がりに負けない髪の長さの見つけ方

肌・髪を整える

50代になってから、朝の鏡の前で「あれ、こんな髪質だったっけ」と感じることが増えていませんか。今まではブラシを通せば素直にまとまっていた髪が、なんだか広がる。うねる。湿度の高い日は特にひどい。

そのたびに、「今の髪型のままでいいのかな」と、ふと立ち止まってしまう。

でも本音を言えば、大きく変えたいわけではないんですよね。できれば今の長さのまま、できればずっと同じ髪型で、楽に過ごしたい。忙しい毎日のなかで、髪にかけられる時間には限りがあります。

この記事では、その悩みの正体を一緒に探りながら、「楽に過ごせる」あなたに合う髪の長さの見つけ方を、できるだけ具体的に考えていきます。

その”うねり”、実は加齢のサインかもしれません

「私はずっとくせ毛だったから」という方もいれば、「昔はストレートだったのに、40代・50代になって急にうねるようになった」という方もいるはずです。

実はこの2つ、同じ”うねり”でも、仕組みが違います。

若い頃からのくせ毛は、毛穴の形状によって生まれつき決まっているもの。一方で、40代・50代から現れる加齢性のうねりは、加齢によって毛穴そのものが歪んだり、髪をつくる成分のバランスが変化したりすることで起こると考えられています。

顔の皮膚と頭皮は、1枚の皮膚としてつながっています。加齢によって顔がたるむのと同じように、頭皮もたるみやすくなり、それが毛穴の歪みにつながっている場合があります。もし加齢によるうねりかどうか気になる方は、髪の根元部分がうねっているかどうかをチェックしてみると、ひとつの目安になりそうです。

この加齢性のうねりの仕組みを解明するヒントになったのが、意外にも「羊毛」の研究だったといいます。花王の研究チームは、人毛よりもうねりの強い羊毛に着目し、ニュージーランド羊毛研究所と共同で研究を進めました。その結果、人毛にも羊毛と同じ2種類のコルテクス細胞が存在することを突き止めたそうです。羊毛のうねりの仕組みが、私たちの髪のうねりを理解する手がかりになっていたなんて、少し意外でしたが、調べてみると、なるほどと納得しました。

まずは自分の髪をセルフチェック

対策を考える前に、まず今の自分の髪の状態を知ることから始めましょう。次の4つのポイントでチェックしてみてください。

いずれも、朝の枕元に落ちている髪など、自然に抜け落ちた髪を使って確認するのがポイントです。ブラシで整えた髪は一時的にまっすぐになっていたり、逆にブラシの摩擦で傷んでいたりして、本来の状態が分かりにくくなってしまうためです。

①毛量

髪を分けて、手のひらで軽く押さえてみます。地肌がどのくらい見えるかで、今の毛量の目安がわかります。

  • 押さえてもすぐ地肌が見える=少ない
  • 押さえるとうっすら地肌が透ける=普通
  • 押さえてもほぼ地肌が見えない=多い

②太さ

枕元などに自然に落ちていた髪を1本つまんで、指の腹で軽く転がしてみましょう。しっかりとしたコシを感じるか、細く頼りない感触かで、太さの傾向がつかめます。

数値の目安は、こちらの表を参考にしてください。

太さの分類太さの目安身近なものでたとえると
細め(軟毛の目安)約0.04mm(40μm)高級品の包み紙に使われる薄葉紙くらいの薄さ
平均(日本人の平均)約0.08mm(80μm)コピー用紙1枚(約0.09mm)に近い厚さ
太め(硬毛の目安)約0.12mm(120μm)コピー用紙をやや厚くしたような、しっかりした紙の厚さ

「髪の毛1本がコピー用紙1枚とだいたい同じ厚さ」というのは、日常でよく手に取るものなので、感覚的にイメージしやすいのではないでしょうか。ちなみに、約0.12mmを「硬毛(太め)」、約0.04mmを「軟毛(細め)」とするのは、確立された分類ではないものの、髪の専門家の間でよく使われる目安です。

③うねりの強さ(見た目と手触り)

こちらも、自然に抜け落ちた髪で確認します。白い紙の上に髪を置いて、ウェーブの間隔(波の大きさ)を観察してみましょう。大きく緩やかな波を描いている場合はうねりが穏やかなタイプ、波と波の間隔が狭く、小刻みにうねっている場合はうねりが強いタイプです。花王の研究でも、うねりの強さは「カールの半径(曲率)」で表されていて、半径が小さい、つまり波が小さく詰まっているほど、うねりが強いとされています。

あわせて、指で軽くつまんでスライドさせたときに、ざらつきを感じるかどうかも見てみてください。くせ毛が混ざった髪束を実際に手で触って確かめる感触評価で、なめらかさが低下することが確認されています。見た目の波の大きさと、指先で感じるざらつき、両方から判断すると、うねりの強さがより具体的につかめます(花王「毛髪制御は水に学べ」)。

④うねりへの感度(湿度編)

うねりの強さを、もう一歩具体的につかむ方法として、髪と湿度の関係を利用したチェックもご紹介します。

髪は乾いているとき、「水素結合」によって形が保たれています。ところが空気中の湿度が上がって髪が水分を含むと、この水素結合が一時的に切れ、髪は自由に変形できる状態になります。雨の日にヘアスタイルが崩れやすいのは、このためです(花王公式サイト「髪と頭皮のお手入れ」)。

花王ヘアケア研究所の研究者によると、空気中の湿度が50%程度になると毛髪内部の水分量は10%に達し、そこを超えると髪は変形しやすくなるそうです。梅雨時は曇りの日でも湿度60%程度、雨の日は80%以上になることも珍しくありません(ourage.jp「髪のうねり、広がり、気になりませんか?」花王ヘアケア研究所・西澤栄一氏インタビューより)。

なぜうねり毛だけが不均一に変形するのか、その仕組みも同社の研究でわかっています。髪の内部には、水分を吸収しやすい「オルソコルテックス」と、吸収しにくい「パラコルテックス」という2種類の細胞があり、この分布に偏りがあると、水分を含んだときの膨らみ方に差が生まれて髪が曲がります。同じ実験では、直毛にくせ毛をわずか10%混ぜただけで、髪全体のツヤが低下することも確認されています(花王「毛髪制御は水に学べ」)。加齢性のうねりが見た目の印象に大きく影響しやすいのは、こうした理由もあるのかもしれません。

<チェック方法>
天気予報や湿度計を意識してみたときに、自分の髪がどのくらいの湿度から変化を感じ始めるかを見てみてください。

  • 50%に届く前から広がりやうねりを感じる方は、髪内部の水分の偏りが大きく、うねりへの感度が高めのタイプ
  • 70%を超えるまであまり変化を感じない方は、比較的うねりに強いタイプ

ただし、この「何%から自分は感じ始めるか」という個人差を厳密に分類する研究データまでは見つかっていません。あくまで、花王の研究で示されている「湿度50%が変形の目安」という一般的な知見に対して、自分がどのあたりで反応するかを観察する、参考程度のチェックとしてお使いください。

(参考文献)
・花王株式会社「髪が形づくメカニズム」髪と頭皮のお手入れ https://www.kao.com/jp/haircare/scalp-care/9-1/
・花王株式会社「ヘアスタイルがくずれるメカニズム」髪と頭皮のお手入れ https://www.kao.com/jp/haircare/scalp-care/9-2/
・花王株式会社「くせ毛・ツヤに一石二鳥『毛髪制御は水に学べ』」花王の顔 https://www.kao.com/jp/kaonokao/dna/9_2/
・ourage.jp「髪のうねり、広がり、気になりませんか? 原因となる『湿度ギャップ』とは?」(花王ヘアケア研究所・西澤栄一氏インタビュー) https://ourage.jp/popular/134091/

羊毛に学ぶ、うねりとの付き合い方

冒頭でご紹介した羊毛の研究には、実はもうひとつ面白い発想が隠れています。羊毛から糸を紡ぐ世界には、うねり(クリンプ)をあえて活かしてふっくら仕上げる「紡毛」と、まっすぐ整えてなめらかに仕上げる「梳毛」という、正反対の発想があります。

これは、そのまま髪の長さと物理法則の関係にも重なります。髪は長くなるほど、その重み自体がうねりを下に引っ張り、伸ばして落ち着かせる方向に働きます。逆に髪が短いと、重みが少ない分、うねりは伸ばされずそのままの形を保ちやすく、むしろふくらみやボリュームとして表に出てきます。

  • 紡毛的発想=うねりを重みで抑え込まず、そのままふくらみとして活かすショート
  • 梳毛的発想=髪の重みでうねりを下に引っ張り、なめらかに落ち着かせるロング

どちらも正解・不正解ではなく、うねりという同じ性質を「活かす」か「重みで手なずける」かの違いです。

うねりのタイプ別・長さの目安

この紡毛・梳毛の発想を、先ほどのセルフチェックと組み合わせると、自分に合う長さの目安が見えてきます。ポイントは「うねりへの感度」と「毛量・太さ」の2つです。

湿度への感度が低め(うねりが出にくい)で、かつ毛量も多め・太めの方は、重みでうねりを抑え込む梳毛タイプがしっかり効くので、ロングに向いていると言えそうです。

逆に湿度への感度が高め(うねりが出やすい)で、毛量が少なめ・細め(薄毛気味)の方は、重みに頼っても根元やトップのうねりを抑えきれません。それなら、うねりごと活かしてボリュームを出す紡毛タイプ、つまりショートの方が理にかなっています。細毛やうねりを”抑えるべきもの”としてではなく、活かし方の問題として捉え直してみると、選択肢はもっと自由になります。

2つの軸が食い違う方、たとえば湿度への感度は低めだけれど毛量は少なめ、あるいは感度は高めだけれど毛量は多め、という方は、セミロングやミディアムといった中間の長さが、ちょうどいい落としどころになります。

目安をまとめると、次のフローチャートの通りです。

タイプ別・おすすめの髪型

ここまでのセルフチェックと、紡毛・梳毛の発想をもとに、うねりや広がりが気になる方に向けたおすすめの髪型を紹介します。

50代に人気のヘアスタイル

実際に、同世代の方たちはどんな髪型を選んでいるのでしょうか。楽天ビューティやホットペッパービューティーの人気順から、紡毛・梳毛の発想をもとにピックアップしてみました。

<ショートヘア>

<ミディアムヘア〜セミロングヘア>

<ロングヘア>

実は少数派?データで見る、50代の髪の長さのリアル

ここで少し、データにも目を向けてみましょう。楽天ビューティの掲載件数を長さ別に見てみると、次のような結果でした。

こうして数字で見ると、ロングは意外にも最も少数派だということがわかります。

さらに、縮毛矯正と組み合わせたスタイルで見ると、「縮毛矯正×ロング」は135件、「縮毛矯正×セミロング」は81件と、かなりニッチな領域になります。一方で、「縮毛矯正×ショート」のデータは見当たりませんでした。

これはあくまで掲載件数からの傾向であり、正式な調査結果ではありませんが、もしかすると「加齢性のうねりを、紡毛的な発想でショートに活かす」という選び方をしている方が、実は多いのかもしれません。

まとめ

ここまでご紹介してきたセルフチェックやフローチャートは、あくまでひとつの指標です。「絶対にこの長さが正解」というものではなく、髪の長さを考えるときの、ひとつのヒントとして使っていただけたらと思います。

それに、うねりや広がりをどうにかしたいと思ったとき、頼れる選択肢は髪型だけではありません。
縮毛矯正やパーマ、トリートメントなど、今の美容技術は昔よりもずっと選べる幅が広がっています。指標はあくまで指標として、あとは美容師さんとも相談しながら、自分に合う方法を柔軟に選んでいってくださいね。

50代になって、髪質が変わっていくことに戸惑う瞬間は、これからもあるかもしれません。
それでも一番大切なのは、自分が一番好きだと思える自分でいられることだと思います。
うねりを活かすのも、長さで手なずけるのも、どちらもおしゃれを楽しむための選択肢のひとつです。戸惑いながらも、髪との付き合い方を楽しんでいきましょう。

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