⚠️この記事を書いた理由
以前「50代からNISAそれともiDeCo」の記事を書きましたが、2025〜2026年にかけてiDeCoの制度が複数変更されました。「改悪」と呼ばれる変更点もあれば、「改善」の部分もあります。50代の方が正しく判断できるよう、最新情報にアップデートします。
① 手数料の引き上げ【2027年1月から適用】
国民年金基金連合会は、iDeCoの加入者が支払う手数料を現在の1回105円から月120円に引き上げると発表しました。掛け金を出すたびに払っているもので、2027年1月の納入分から適用されます。
理由について、値上げの公式な理由は「物価・人件費の上昇に伴い、安定したサービスを提供するため」とされています。月額で約14%の値上げです。
毎月積み立ての場合の影響
| 改正前 | 改正後(2027年1月~) | |
| 1回あたりの手数料 | 105円(拠出時) | 120円(月額) |
| 年間手数料合計 | 1,260円 | 1,440円 |
| 差額 | — | 年間180円増 |
年1回まとめて拠出している場合の影響
ここが特に注意が必要です。年1回などまとめて拠出している場合の手数料も変わります。年1回であれば現在は手数料の支払いも1回で済みますが、見直し後は拠出期間に応じる形となり、12ヶ月分を年1回拠出していれば1度に1,440円を支払うことになります。
| 改正前 | 改正後 | |
| 年1回拠出の手数料 | 105円(年1回) | 1,440円(12ヶ月分一括) |
| 実質的な負担増 | — | 約13.7倍 |
年1回払いの方は実質的に大幅な負担増になるため、毎月払いへの変更を検討する価値があります。
② 受け取り時の「5年ルール」→「10年ルール」への変更【2026年1月から適用済み】
これが「改悪」と最も大きく声が上がっている変更点です。
変更前の仕組み(5年ルール)
これまでの制度では、iDeCoの一時金を先に受け取り、5年以上の期間を空けてから会社の退職金を受け取る際は、それぞれの受け取り時に退職所得控除を別々に満額適用することが可能でした。この仕組みを利用することで、税負担を大幅に抑えることができました。
変更後の仕組み(10年ルール)
この期間が10年に延長されることになりました。つまり、iDeCoの一時金を受け取ってから10年以内に会社の退職金を受け取ると、退職所得控除の枠が通算で計算されることになります。その結果、控除を満額受けることができなくなるケースが増えます。
具体的な例で見てみましょう
Aさん(会社員・50代・企業年金なし)
- 60歳:iDeCo一時金500万円を受け取り
- 65歳:会社の退職金1,500万円を受け取り
【旧・5年ルール適用の場合】 5年の間隔があるため、iDeCoと退職金それぞれに退職所得控除が満額適用→税負担ほぼゼロ
【新・10年ルール適用の場合(2026年以降)】 5年しか間隔がないため控除が通算される→退職金に課税される可能性が生じる
| 5年ルール(旧) | 10年ルール(新) | |
| iDeCo受け取り | 60歳 | 60歳 |
| 退職金受け取り | 65歳(5年後)→OK | 65歳(5年後)→NG |
| 退職金受け取り | — | 70歳(10年後)→OK |
| 影響を受ける人 | — | 退職金あり・受取間隔が10年未満の会社員 |
影響を受けない人
- 退職金がない方(自営業・フリーランス・中小企業勤務の一部)
- iDeCoと退職金の受け取りを10年以上離せる方
③ 「改善」された点も知っておこう
「改悪」ばかり注目されがちですが、50代にとってプラスの変更もあります。
加入可能年齢の拡大
現行の65歳から70歳未満に引き上げられます。また、60歳以降もiDeCoに加入できる条件が広がります。
掛金上限額の引き上げ
会社員・公務員は月約4万円増える予定で、自営業者やフリーランスも月7千円上乗せとなります。掛金が多いほど節税効果が高まります。
所得控除の早見表|50代からiDeCoを始めた場合の節税効果
iDeCoの最大のメリットは掛金の全額が所得控除になること。これは手数料引き上げ後も変わりません。
年収・掛金別 年間節税額の目安(会社員・企業年金なし)
| 年収 | 所得税率 | 月1万円積立 | 月2万円積立 | 月2.3万円積立(上限) |
| 300万円 | 5% | 約7,800円 | 約15,600円 | 約17,940円 |
| 400万円 | 10% | 約14,400円 | 約28,800円 | 約33,120円 |
| 500万円 | 20% | 約26,400円 | 約52,800円 | 約60,720円 |
| 600万円 | 20% | 約26,400円 | 約52,800円 | 約60,720円 |
| 700万円 | 23% | 約29,880円 | 約59,760円 | 約68,724円 |
| 800万円 | 23% | 約29,880円 | 約59,760円 | 約68,724円 |
※住民税10%を含む概算。実際の控除額は個人の状況により異なります。
手数料引き上げ後も節税効果の方が大きい
2027年以降、年間手数料が1,440円増えますが、年収500万円・月2万円積立の場合、年間節税額は約52,800円です。手数料増加分を差し引いても年間約51,360円の節税になります。
50代からiDeCoを始める場合の注意点まとめ
① 退職金がある会社員は受け取り戦略を要確認
10年ルールにより、受け取りタイミングの設計が以前より重要になりました。退職金との間隔を考慮した上で始めるかどうかを判断しましょう。
② 退職金がない方はほぼ影響なし
自営業・フリーランスの方は10年ルールの影響を受けにくく、iDeCoの節税メリットは引き続き大きいです。
③ 年1回払いの方は毎月払いへの変更を検討
手数料の計算方式が変わり、年1回払いの方が実質大幅な負担増になります。
④ 具体的な受け取り設計は専門家に相談を
退職金・公的年金・iDeCoの最適な受け取り順序は個人の状況によって大きく異なります。ファイナンシャルプランナーやWebシュミレーターなどの活用をおすすめします。
新NISAには、変更点はありません。
制度の変更が続くiDeCoですが、掛金の全額が所得控除になるという大きなメリットは変わっていません。変化する制度をしっかり把握しながら、50代の今だからこそできる賢いお金の選択で、自分らしい老後をしっかり支える資金を一緒に育てていきましょう。
※本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。制度は変更される場合があります。最新情報は国民年金基金連合会・金融庁の公式サイトをご確認ください。また本記事は情報提供を目的としており、投資・税務アドバイスではありません。


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